軽井沢便り:クラシック・ギタリスト斎藤明子のブログ「軽井沢便り」

軽井沢便り

Triades 音と衣と食の和音

2010.Jun.19
カテゴリー: 音楽について

20100619-100617_mariluise.jpgマリー・ルイーズ6月17日、平塚のマリー・ルイーズというレストランでのイベントです。
シェフの尾鷲幸男さん、和服地を独自のセンスで洋服に仕立てる島田佳幸さんとのコラボレーションです。お互いがインスパイアしあって、大変充実した会になりました。
レストランという環境は大抵集中するのがとても難しいものですが、この日はリハーサルを始めたとたんに深い集中に入ることができました。その場の空気が、前日からの他のメンバーによる仕込みのおかげで、すでに研ぎ澄まされていた模様。驚きました。
「気」は目に見えるものではありませんが、ときに目に見えるもの以上にはっきりと感じ取ることができます。強力な「気」の中に自分の気をのせていくなんて、コラボレーションの醍醐味ですね!

バッハ無伴奏チェロ組曲に挑戦

2010.Jun.14
カテゴリー: 音楽について

20100609-100418_bach.JPG無伴奏チェロ組曲バッハ小さいころからバッハを演奏はしてきたものの、4月18日に、はじめてバッハばかりのプログラムでのコンサートに挑戦しました。
無伴奏チェロ組曲第1,2,3番を、オリジナル通りに、アンナ・マグダレーナの手稿譜を見ながら演奏しました。

この演奏会の依頼が来てからは、バッハがあまりにも偉大すぎ、まるで地図がないままエベレストを目指しているような心持ちでした。そんな中、音楽関係の先輩後輩はもちろん、カメラマン、レコーディングエンジニア、デザイナー、教師、武道家、農家 …… ありとあらゆる分野の、この人こそ、と思える方たちから、さまざまなヒントをもらい、手探りで少しずつ前進し、バッハを演奏するということについて考え続けました。
そして何となく自分なりの方針も固まったコンサート1週間前、ホールの下見に出かけました。

明日館の講堂は、アメリカが生んだ巨匠フランク・ロイド・ライトの助手を勤めていた遠藤新が設計したもので、国の重要文化財に指定されている建物です。1歩足を踏み入れただけで、とても温かな空気に包まれます。
そしてステージに立ち演奏を始めた瞬間、大きなショックに襲われました。
「あ、この演奏は全然ちがう!」
弾き進めていくほどに、講堂が鏡となって私に自分の演奏を見せてくれ、それが明らかに私が求めるべきものではないことが分かっていくのです。

軽井沢に戻って考えました。明日館の空間は空間そのものが「息づいていた」のに対し、私の演奏にはそういったものがなかったのでは。
いさぎよく振り出しに戻りました。ただ、今度は向かっていくべき先がとてもよくわかるようになったのです。

演奏会当日。いつもなら「今日で終わり」という感覚なのに、その日は「今日からバッハという山へいよいよ登り始めるんだ!」という思いがありました。演奏中も、自分が演奏しているという感覚よりも、講堂にお客様のエネルギーとバッハの音楽があるだけで、私はそれを客観的に傍観していただけという感じなのです。
終わってからも「やり遂げた!」という達成感や充実感がまるで起こりませんでした。その後もずっとステージでの体験と必死に向かい合い、丸1日かけてようやく受け入れることができました。そしてあのとき、あの講堂で、あの瞬間に感じた「絶対的存在」の重さをしっかりとかみしめました。

バッハはやはり凄かった。いざ登り始めようとして前を見たとき、その山はずっとずっと高く感じられるのです。

ジュニア・ギター・コンクール

2010.Jun.14
カテゴリー: 音楽について

6月13日に第32回ジュニア・ギター・コンクールの審査に行ってきました。
年長さんから高校3年生まで、41名の演奏を聴かせていただきました。ギターや音楽に向かう姿勢はそれぞれとても個性的で興味深かったです。
コンクールといえば「技巧の高さを見せつける場」といったイメージが強いものです。しかし今回各部門で金賞を受賞された稗田隼人さん、柴夢弥さん、金田栞奈さん、原田斗生さんはみな、技巧を見せつけようとするのではなく、最大限に生かし、音楽そのものを作り上げることに成功した方たちでした。素晴らしかったです。
入賞はされませんでしたが、片根柚子さん、降旗まり子さん、友也さん、和田碧月さんの演奏には大きな才能を感じました。
また是非演奏を聴いてみたいです。

中村洋子 無伴奏チェロ組曲第3番 日本初演

2010.Jun.07
カテゴリー: 音楽について

6月6日の演奏会で、中村洋子さんの無伴奏チェロ組曲第3番を演奏しました。
バッハのチェロ組曲を勉強したら、どうしてもこの作品を演奏してみたくなり、お願いしたのです。
チェロだけを想定した作品なのにもかかわらず、ここまで10弦ギターにフィットしてしまうとは!
日本の秋の森の様子が音になっています。私は別荘が所狭しと並んでいる森に住んでいますが、それでもなお、森には独特の空気があります。神がかっているというか、神秘的というか…
本当は人間がズカズカと入り込んではいけない領域だ、という雰囲気です。
そんな森がもっている目に見えない空気に耳を澄ませて音楽を作っていると、本当に楽しいのです。


コンサートが終わった後は浦和駅近くの繁華街で打ち上がりました。軽井沢と違って、若い世代の人たちがたくさんいる!ものすごい活気を感じてしまいました。商店街も、昔からあるお店と新しいお店がとてもいい感じに肩を並べていて魅力的でした。サッカー観戦ついでにまた遊びに行きたい町です。